東京は広い

 

大好きな人に前触れなく会えた時ってめちゃめちゃ嬉しいよね!

 

今日まさにこれを体験した。高校のオーケストラのコーチの先生に、久しぶり、といっても4カ月ぶりくらいに会えた。

場所も場所で、大学のオーケストラのコーチの先生が出演している演奏会の帰り際に会えたのだ。大学のコーチと高校のコーチの先生は、楽器は違えど同業者で、もともと知り合い(というか、一緒に働いていた)だったそうだ。世界は狭い。

最初先生を見かけたとき、これは幻覚かと思い、「え、まってまって?」と盛大な独り言をつぶやき、アイコンタクトを取り、ぎこちなく手を振り、人をなんとかかき分けて近づき、「ななななんでいるんですかあ~~~」とちょっと泣きそうになりながら声をかけた。先生の方は(そりゃあ私の3倍は生きているので)いたって落ち着いていて、「ああ、久しぶりだね」と声をかけてくれた。

先生は私が卒団した次の年に定年退職していった。そこから今までは、年に1回ある高校オケの定期演奏会後の楽屋でちょっと声かけあうくらいのことしかしていなかった。正直、次会うのは来年の3月だと思っていたので、ついさっき会えたのが奇跡みたいだった。

めちゃめちゃ興奮した。まさかここで、大好きな大好きな先生に会えるとは思っていなかった。

この先生がいなかったら、今の私はいないだろう。オーケストラの真の楽しさ―ただ音を並べるだけじゃなくて、どう弾けば綺麗に聴こえるか、楽器で「歌う」ことはどういうことか、他の楽器と合わせることの大切さとか―楽典はあまりやらなかったけど、先生のおかげでバイオリンがどういう楽器なのかが分かったような気がするし、「大人」な演奏ができるようになった。楽器がもっともっと好きになった。もっと楽器を鳴らせるようになりたかったし、なにより、先生のレッスンが大好きだった。中学まではなんだこのいつもしかめっ面なおじいちゃん、とかって思っていたけど、高1くらいからはもう大好きだった。週1回の練習だけじゃあ足りなかった。もっと先生に叱られたかったし、褒められたくもあった。演奏会後はいつものようにぼそぼそと、でも嬉しそうに「よく頑張ったね」と声をかけてくれた。その一言で、私はまたこの先生の前で演奏するぞと決めた。

 

それでは。